口呼吸・睡眠の乱れを「胸郭と呼吸の再教育」から整える

「鼻炎で鼻が詰まるので、口で呼吸するしかないんです」
このご相談はとても多いです。

もちろん、鼻が通らないと鼻呼吸は難しくなります。
ただ、ここで大切なのは「鼻だけ」を何とかしようとするよりも、呼吸と姿勢(胸郭の動き)と睡眠をまとめて見直す方が改善が早いケースが多い、という点です。

そして、この“まとめて整える”のに相性が良いのがピラティスです。


1. 口呼吸が増えると、呼吸が「胸だけ」になりやすい

鼻が詰まると、無意識に吸い込みやすい“口”を使うようになります。
口呼吸が増えると、呼吸は次のような形に偏りやすくなります。

  • 肩や首が上がる「浅い呼吸」
  • 息が早くなる(呼吸量が増えやすい)
  • 胸の前側だけが動く
  • 反対に、**背中や脇腹(肋骨の横・後ろ)**が広がらない

すると、呼吸が落ち着きにくくなり、日中の緊張が抜けにくくなります。
この状態が続くと、夜もリラックスしにくく、睡眠が浅くなる方向に進みやすい人がいます。


2. 鼻炎は「原因」だけでなく、生活の連鎖で“固定化”することがある

鼻炎が口呼吸を生むこともありますが、逆に

ストレスが続く → 呼吸が浅く早くなる → 睡眠が浅くなる
→ 寝ている間に口が開く → 乾燥・いびきが増えやすい
→ さらに鼻の通りが悪くなり、鼻呼吸がしにくくなる

このように、呼吸と睡眠の乱れが続くことで、鼻づまりが「結果として固定化」していく流れも起こり得ます。

ここでポイントになるのが、鼻を無理に通そうとする前に、
呼吸の土台(胸郭・横隔膜・姿勢)を整えることです。


3. ピラティスが強い理由は「胸郭を360°動かす設計」にある

ピラティスは、単に体幹を鍛える運動ではありません。
多くのエクササイズが、呼吸と連動して

  • 肋骨の前だけでなく、横・後ろまで広げる
  • 吐く息で肋骨を締め、体幹の安定をつくる
  • 胸郭と骨盤の位置関係を整える(反り腰・猫背の改善)
  • 首・肩の力みを抜いて、呼吸を静かにする

こうした「呼吸の再教育」を自然に含んでいます。

鼻が詰まっている人でも、まずは
“呼吸を静かにする”→“胸郭が動く体に戻す”
この順番で取り組むと、鼻呼吸を取り戻す準備が整いやすくなります。


4. まず整えるのは「吸う」より「吐ける体」

鼻呼吸が苦手な方ほど、「吸う」ことを頑張りがちです。
しかし実際は、変化を作るのは多くの場合

吐ける体 → 呼吸が静かになる → 首肩が緩む → 睡眠が整いやすい

という順番です。

ピラティスでは、吐く息で肋骨が“内側にまとまる”感覚を育てます。
これができてくると、吸う息が勝手に入るようになり、呼吸が自然に落ち着いてきます。


5. 鼻炎・口呼吸が気になる人向け「ピラティス的アプローチ」3ステップ

ここからは、スタジオでも自宅でも再現しやすい内容に落とし込みます。

ステップ1:胸郭を「横・後ろ」に広げる呼吸

目的:首肩優位の呼吸を外し、肋骨が360°動く土台を作る

  • 仰向けで膝を立てる(リラックス姿勢)
  • 片手を肋骨の横、もう片手を背中側(または肋骨下)に当てる
  • 吸う:横と背中に空気が入るイメージ
  • 吐く:肋骨が内側に“静かに”まとまる

※鼻が詰まっている日は「吸う」は無理をせず、吐く息を丁寧に。


ステップ2:姿勢(胸郭×骨盤)を整えて、呼吸の通り道を作る

目的:反り腰・猫背で呼吸が浅くなる状態を減らす

  • 骨盤が前に倒れて反り腰が強いと、肋骨が開きっぱなしになりやすい
  • 猫背が強いと、背中が固まり胸郭が広がりにくい

ピラティスでは、骨盤と肋骨を“積む”ように整えることで、
呼吸の通り道そのものが作りやすくなります。


ステップ3:呼吸と動きをつなげて「日常でも口が閉じやすい体」へ

目的:運動中・日常でも呼吸が荒れにくい身体反応を育てる

  • 動くとすぐ口呼吸になる人は「呼吸が乱れると姿勢が崩れる」傾向が強い
  • ピラティスは“動きながら呼吸を静かに保つ練習”ができる

ここが、単なるストレッチや筋トレだけでは作りにくい強みです。


6. おすすめピラティス種目(鼻炎・口呼吸対策に相性が良いもの)

※マシンでもマットでも応用できます。呼吸は「吐く」を丁寧に。

① ブリージング(仰向け・肋骨呼吸)

  • まずはこれが全ての土台
  • 「肩が上がらず、横と背中が広がる」感覚を優先

② ペルビックティルト/ペルビッククロック

  • 骨盤の位置を整え、呼吸が入りやすい体勢を作る

③ スパインストレッチ(背骨の分節)

  • 背中の固さが取れると、背中側の呼吸が入りやすくなる

④ マーメイド(胸郭の側屈+呼吸)

  • 脇腹が広がると、呼吸が深く静かになりやすい

⑤ サイドライイング・ブリージング(横向き呼吸)

  • 片側ずつ胸郭を広げられるので、左右差が強い人に有効

7. こんな人は「鼻」だけでなく「睡眠」も要チェック

次の項目が当てはまる場合は、鼻炎だけでなく睡眠の要素が絡んでいる可能性があります。

  • いびきが大きい
  • 朝起きたとき口がカラカラ
  • 寝たはずなのに疲れが取れない
  • 日中の眠気が強い

この場合、自己流の対策だけで頑張るより、必要に応じて医療評価を入れた方が早いケースもあります。


まとめ:鼻炎の改善は「鼻呼吸の前に、呼吸の土台」を整える

鼻が詰まると、鼻呼吸ができず苦しい。
だからこそ多くの人が「鼻を何とかしたい」と考えます。

ただ、改善を早める鍵は
呼吸が静かになる土台(胸郭・横隔膜・姿勢・睡眠)を整えること。
ピラティスは、その土台作りを“運動として”安全に行える方法のひとつです。

今日からまずは、
「静かに吐く」
「肋骨が横・後ろに広がる」
この2つを意識してみてください。変化の入口になります。


免責

本記事は一般的な健康情報であり、診断や治療を目的としたものではありません。症状が強い場合(強いいびき、無呼吸の指摘、日中の強い眠気、喘鳴など)は医療機関へご相談ください。